悪魔との世界
船から降りるとサッカーのコートよりも少し広いひらけた場所に出た。周りはコンクリートの壁で覆われており見えるかぎりではドアが2つあった。
あたりはもう既に暗くなっており、僕は彼女の方を振り返り先に進んでみようと無言で合図をした。
とりあえずドアから出られそうだ。だが全身真っ黒な人の形をした何かがフラフラとゆっくり歩いている。火で焼かれて炭になっても生きているような、そんな雰囲気が感じられた。
そいつがドアの近くにいるのでどうしようか考えようとしていたら、向こうから少しずつ近づいて来た。
なんとなく自分達を襲おうとしている気がした。
突然彼女が前に出て来た。手にはゴツゴツの銃のような物を両手で持っている。
その正体は火炎放射機だった。
容赦なく炎は放たれ、一回火で焼かれた様な姿だったのにまた焼かれている。だが効果有りであたりにいるのは大体やけ倒れた。
機械の調子が悪くなって燃料だけ抜いて来た様だ。
「火炎放射器はどうしたの?」
「川に捨てて来た」
近くにかわなんてあったか?と思いつつ細かいことは気にしないことにした。
ドアを開けると廊下になっており右も左も長く奥まで続いている。
ぼんやりとした明かりで所々水漏れもあり壁は黒いペンキを適当に塗った様に全体的に黒ずんでいた。
右に曲がってすぐに階段があったため階段を降りてみることにした。
ゆっくり慎重に警戒しながら進むと上で見た黒い奴らが見えた。
こっちはダメだなと思い上まで戻ると、さっき通った階段から人が上がって来た。
どうやら違う場所に人が居るところがある様だ。
案内され階段降りていると多くの人がいた。その中に船の中で出会った少女がいた。だが様子が変で右肩が少し下がっていて、やっと立てているという様な様子で顔色も明らかに悪い。彼女は自分たちが入って来るときにはもう気付いていた様でずっとこちらを見つめていた。
金髪のショートカットヘアは乱れていて、3日間風呂に入っていないぐらいボロボロなのだが彼女隣にはそれとは対照的に綺麗な赤髪のお嬢様の様な人形が立っていた。
声が届くくらいの距離まで近づいた時、彼女は自分の左腕の袖をまくって手首を見せつける様に前に出して来た。手首には三本の黒い線が付いていた。
「本当にいたんだよ」
彼女は悪魔と契約していた。
悪魔と契約していたことには驚いたが、そんなことよりも再開できたことを素直に喜んでいた。一応人形に名前を聞いてみたが反応はなかったので無視することにした。
どこかの席に座り色々話をしていた。水をもらうため席を離れコップに水を入れてもらった後に席に戻ろうとしたら、気付かないうちに水が暗く濁っていた。濁り方も煙が充満している様な感じて濁っていて、水面から包丁くらいの刃物が出ていた。どの様に立っているかは暗く濁っていてわからない。
とても気持ち悪かったのでその場に置いて来た。今思えば手を傷つけるなり、コップを割ったりした時に契約になってしまう代物だったのではと思う。
戻った際に再度人形に名前を聞いてみると、人形は見た目とは裏腹に低い声で返事を返して来た。
名前は知らなかったが、船が海の上で動いている際に追いかけて来た、チェーンソーを持った人形ということがわかった。見た目が全然違うが知り合いだったわけだ。海の中に落とされた後、自力で泳いで来たのらしい。陸についた際にチェーンソーは壊れていたのでおいて来たそうだ。・・・チェーンソー持ったまま泳いで来たのか・・・。
・・・起床
人形は最初チャッキーみたいな見た目だったよ